おばあちゃんと始めた着物レンタル屋
この物件は現在は募集終了している可能性が高いです。過去物件のアーカイブとしてお楽しみ下さい。
おばあちゃんと私、 2人で気ままにやってる 着物レンタル屋。
築地場外市場に行く人や 長屋の多いこのエリアを 街歩きする人が、 レンタルしてくれる。
なんて、想像が膨らむおうち。
建物が古いので用途については 要相談だそうです。
まだお片づけ途中のようですが 長年の下町暮らしを覗いているようで ちょっとドキドキしちゃう。
竹箒、踏み台、食器棚、小机、 板天井にガラスの引き戸。 すべてが昭和レトロ。
おばあちゃんと過ごす風景が 自然に浮かんでくる空間。
「暑くなってきたから柳とか竹の柄がおすすめ」 「冬だからウール生地が良いわよ」
って、季節の柄と生地について ポンポン出てくるおばあちゃん。
横から私が 「最近はレースの帯揚げを アレンジするのが 流行ってるんだよ」 と言うと、 「ひょえー時代は変わったね」 って素っ頓狂な声を上げる。
「でも可愛いわ」 って、すぐ順応する。
紫陽花柄、お似合いですね!
築地市場でいっぱい食べても良いように ちょっと緩めに着付けときましょ!
なんてお客さんとキャッキャして。
ひと息着こうかね、とおやつタイム。
鉄瓶で沸かすお茶は うっすら鉄の香りがして 味が深まる。
ガラガラ、と引き戸の開く音。 「こんにちは」 お客さんがやってくる。
あら休憩しすぎちゃった、 ってあれやこれやと過ごすと あっという間に日が暮れて。
坪庭に出ると、 昨晩の雨に元気付けられて 伸び伸びと育ってきた植物たち。
「この子はちょいと剪定しないとね」 ってぶつぶつ言うおばあちゃん。
庭の向こうには離れ。 今時珍しいタイルのお風呂。
初めてこのお風呂を見た時 「松島に来た気分だわあ」 なんておばあちゃんが言ってた。
松島の海に白鳥とおしどりは なかなか居ないだろうから、 どっちも見られるなんてお得な絵だ。
裁縫も得意なおばあちゃんは 自分が着ていた着物を 私サイズに仕立て直してくれる。
しわしわで苦労を重ねた手が ちくちくと縫い進めていく様子を 見るのが好き。
「あんまり見ると緊張しちゃうよ」 と言われて、 「緊張する歳じゃないでしょ」 「そりゃそうだ」 って二人でけらけら笑った。
文・戸田江美
1991年生まれ。デザイナー。おばあちゃんの仕事を継いで荒川区のマンションの大家をしている。落語が好き。@530e
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