大佛次郎先生の茶亭を引き継ぐ
この物件は現在は募集終了している可能性が高いです。過去物件のアーカイブとしてお楽しみ下さい。
作家・大佛次郎先生といえば『鞍馬天狗』。 本も、ドラマも映画も、 何度も読み聞きしてきました。
そんな大佛先生が暮らした物件が、 引き継いでくれる人を待っているなんて...!
場所は鎌倉雪ノ下。
板塀と切妻の屋根が乗った門の向こうに、
鎌倉駅から徒歩9分とは思えない どこか懐かしく、 そして贅沢な空間があります。
鎌倉市の景観重要建築物に指定されている 数寄屋風の平屋は、 大佛先生が客人を迎える茶亭でした。
写真を見ただけで伝わってくる 凛とした空気。
この建物と庭が 大切に維持されてきたからこその 佇まい。
木漏れ日の落ちる敷石は 雨で濡れるとまた違う 艶めいた表情を見せます。
玄関の飾り窓、格子、竹細工、梁、板天井… 異空間のようで 少し前の日本では 当たり前だったはずのものたち。
ここに来たら、 一箇所一箇所愛でるのに時間がかかって なかなか中に進めなさそう。
庭に面した客間。
もう閉店してしまいましたが、 ここは週末と祝日に開くカフェ 「大佛茶廊」として 賑わっていました。
庭には藤棚。 自然で涼をとる贅沢。
丁寧な技術で建てられた建物が 長い年月を大切に紡がれてきたからこそ持つ 存在感って、あると思います。
ほんの数十年生きただけの 自分では太刀打ちできない、 圧倒的な存在感。
水回りは新しいものを設置しつつ、
丸窓付きの違い棚や お手洗いのにじり戸がきちんと残されてる。
住居部分へは庭を歩いて行きます。
季節の温度と香りが 土から匂い立つような。
自然と暮らしが同一線上にある。
住居部分は現代風に 改装されています。
鎌倉の自然を守ろうと ナショナルトラスト運動に力を入れた 大佛先生。
先生の随筆『破壊される自然』には 自然との共存が必要であることが 力強く書かれています。
その想いが詰まった土地。 こんなにメッセージ性の強い物件、 なかなかありません。
取り扱っている鎌倉R不動産さんの言葉が とても刺さったので、 引用させていただきます。
歴史的に意義のある建築を きちんと残してゆくこと。 その実現に求められる 資本力と心意気は相当なもので、 非現実的な話かもしれません。
ただ、元来そのような思想を持つ方は 少なくないことを わたしたちは知っています。
志ある方の手に渡り、 「場」そのものが呼び水となり、 さらに理念が広がってゆく。
鎌倉において、 そのような活動にふさわしい場所は もうここしか残っていないのでは。 空からの写真を見てそう思ったのです。
時を越えてきた貴重な建物が あっという間に取り壊される このご時世。
歴史ある建物には 文化が詰まっています。 消えたら復活しません。
残せる可能性がある建物は できる限り後世に継いでいってほしい。
この物件は、 景観の維持を前提としてくださる方、 改修するにしても 既存を活かす方針で考えてくださる方を 対象としています。
大変だとは思いますが、 鎌倉の「呼び水」が どうか生き続けますように。
文・戸田江美
1991年生まれ。デザイナー。おばあちゃんの仕事を継いで荒川区のマンションの大家をしている。落語が好き。@530e
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