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段々、団らん。

この物件は現在は募集終了している可能性が高いです。過去物件のアーカイブとしてお楽しみ下さい。

「この前まで赤ちゃんだったのに」
こんな台詞、自分は言わないと
思っていたんだけどな。

つい口から出てしまうのは
いっぱい思い出が詰まった
家だからかもしれない。

「ただいまー!」

小さな身体に
大きなピカピカのランドセルを背負って
仰け反りぎみで帰ってきた誇らしげな顔。
額にうっすら光る汗が、
走って帰ってきた証拠。


パタっとベンチを引き出して
泥だらけになった青い靴を脱ぎ捨てる。

「ちゃんと靴箱に入れてよね~」
「分かってるよ~」

ちょっとこもった声から
シューズクローゼットに
ちゃんとしまったことが分かる。

一番下が君の場所。
そういえば、
もう履かないと思って箱の中にしまって
棚の一番上に片付けたハイヒール、
そろそろ復活させてもいいかもしれない。

黄色い帽子や上着は
リビング入ってすぐにある
ウォークインクローゼットへ。
「君の場所はここだよ」って
スペースをあげたら
お片付けできるようになるんだから
不思議なものだ。

「ねぇおやつある?」
「もちろんあるよ」

煮込んでいたシチューのコンロを
一旦止めてお菓子ボックスを取り出す。

お菓子ボックスは吊戸棚の中。
取り出したのは、
動物の形をしたビスケット。

「ほんとこれ、好きだよね」
と言いながら、引き出しからお皿を2枚。

もちろん1枚は私の分。
一緒におやつを食べるこの時間は
私にとってもお楽しみのひととき。

「あのね!今日ね!」
「うんうん、まずは一旦座ろうか」

嬉々として話し出す君の小さな背中に
そっと手を添えて
私たち家族のお気に入りである
小上がりの畳コーナーへ。

先生が面白い歌を教えてくれたこと

図工で絵の具を混ぜすぎて
灰色になってしまったこと

帰り道は新しい友だちと
帰ってきて遊ぶ約束をしたこと

次々と出てくるおしゃべりは
私の知らない世界。

ついこの間まで、この畳の上で
一緒に闘いごっこをしていたのにね。
おもちゃ箱で待機したままの
レンジャーたちが目に入った。

そういえば、産まれてすぐの時は
畳の上に座布団並べてお昼寝させていたし

動き始めたときは危なっかしくて
障子の引き戸を閉めて
ベビーコーナーにしていたっけ。

料理を始めると泣き始めて、
いつも「ごめんね~」って
言ってた気がする。
一瞬一瞬は必死だったのに
過ぎてしまうとほんとあっという間で。

「ねぇお母さん、聞いてる?」
「あ、うん聞いてるよ。それで?」

「今日から新しいドリルの宿題なんだよ」

ランドセルから取り出したのは算数ドリル。

「初めて開くとき、
真ん中をグッて折るの好きなんだよね」

そう言いながらペラペラめくる顔を見て
思わず笑みが溢れる。
分かる分かる、お母さんも同じだったから。

夕飯前に宿題をやるのが我が家のルール。

だって、夕飯後にはまた小上がりで
のんびり団らんしたいからね。

ワークスペースでドリルを開いて
頑張って計算を解く君。

分かるかな、大丈夫かな。

ソワソワする気持ちを抑えてキッチンへ。
作りかけのシチューを再び加熱する。

この部屋を選んだのは、
ワークスペースに惹かれたのも
理由のひとつ。

「子どもが育ったら
リビングで勉強してほしいね」

これは夫婦で一致した未来像。
横に座って勉強を教えたり
それぞれ作業したりするのっていいよね!
と、このワークスペースを見て
盛り上がったのを覚えてる。

ワークスペースの壁にある飾り棚。
夫婦二人だけのときは
コロンとしたサボテンを
今は誕生日に子どもがくれた
粘土の花瓶を飾っている。
私にとって君の作品はピカソにも勝る。

「今日はどこでご飯食べる?」
「んー、おやつは畳だったから、
テレビの前で食べる!」

お父さんが帰ってきたら
男同士のお風呂タイム。

洗面台の横に下着とパジャマを。
広々した脱衣所だから
まだまだ二人で入ってくれそうね。

優しい木目調の壁と
白いバスタブのおかげで
ふっと気持ちが和らぐバスルーム。

今日の入浴剤は桜の香りかな。

夜の9時を回ると
新しい世界で奮闘した小さな戦士は
まぶたとまぶたが
くっつきそうで限界の様子。
リビングからつながる
洋室のベッドにダイブ。

棚から何十回と読んだ絵本を取り出して。
何度読んでも同じところで笑うから、
思わずこの絵本を選んじゃうんだな。

夢の世界にストンと入った姿を眺めながら
小さなテーブルスペースで
ノートパソコンを開いて映画タイム。

「テレビで観ればいいのに」
夫はそう言うけど
こそこそ見るのが染み付いちゃったのよ。
それに、このサイズ感がちょうどいいの。

そうだ、洗濯物を干すの忘れてた。

大きな窓からは
雨の音が聞こえたけれど大丈夫。

隠れていた金具を引き出せば
室内物干し竿の出来上がり。

雨の日や花粉が辛い時期、
助けてくれる秘密兵器。
以前は大量のスタイを干したっけな。

リビングに戻ると小上がりの畳で寛ぐ夫。

「今日ね、あの子がね」

最初に出るのは子どもの話。

二人でデートしてたときって、
どんな話してたっけ。
うーん、思い出せないな。

そう言って畳に寝転がって笑う私たちは
多分これまでで一番幸せだ。
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