道端で突然こんなおうちが現れたら 思わず足を止めて、うっとり眺めてしまう… 完璧に愛らしく、麗しい佇まいの洋館！ こうして綺麗に残っていることに 心ときめかせながら、

中はどんな間取りで、 どんな暮らしが営まれていて、 あの窓の内側はどんな部屋なのかしら… とあれやこれや想像しては いてもたってもいられなくなってしまうな。

門構えは、和の正統派。 その横の洋館の存在感たるや。

植栽や玄関からも、滲み出る品格。 立派なお家柄だったのでしょうね。

けれど、家主のいなくなった建物はひっそり。 静かに時間だけが刻々と刻まれていきます。

これだけ広く、お部屋があるおうち、 なかなかお目にかかれません。

かくれんぼをしたら、隠れ場所がありすぎて 見つける鬼も大変だ。

縁側にぐるり囲まれた和室は、 いつどんな時も麗しい。 こうして照明を落としていると 柔らかく光を通す障子というものの良さが 際立ちますね。

誰の記憶の中にもありそうな、 床の間や書院など、昔ながらの設えの和室。 全部のお部屋をお見せできないのが残念ですが

こちらが洋館部分の1階です。 すずらんのようなシャンデリア、 折り上げ天井にドレープカーテン、と 静かな上品さが満ちています。 タイムスリップした錯覚に陥る、 懐かしいような、光の入り方。

2階へと続く階段の雰囲気も ほんのりクラシカル。

憧れの洋館部分の、 2階に上がってしまいました、、！

磨りガラスの室内窓に、 愛らしいライト。 ドアを開ける前から かわいいが溢れていて 胸の高まりを抑えきれません。

ああ、夢みたい。 想像よりずっと、素敵で。 カクカクと切り取られた壁、 それだけでこんなに絵画的になるんだ。

レトロな建物の良さは、 窓辺と、その周りのデザインに 凝縮されている、と改めて感じます。 しかもですね、これらの家具や調度品、 希望であればそのまま 譲っていただけるんだとか…！ この空気感丸ごと、引き継げるんです。

木々が繁り、パラソルが残された庭先も どこか、映画のワンシーンのよう。 そう、和室も、洋室も、廊下も、 ストーリー性を色濃く感じるのです。

チラリと見える三角屋根が愛おしい…。 なんと、築105年というから驚きです。 それはそれは、様々な日々が積み重なり、 物語が紡がれてきたのでしょう。

文化財にも登録され、熊本地震の後も 丁寧に必要な修復がされてきました。

100年の時を超え、大切に守られ、 こうしてまだ綺麗なまま、 普通に住める状態であることに 感動を覚えつつ、

これは、なんとしてでも、 守り抜きたい…守り抜いてほしい… これからも物語を紡ぎ続けてほしい。

色んな人が泊まりに来れる 宿泊施設になったりしても嬉しいですよね。 誰もがこの部屋の景色の虜になるだろな。

映画の主人公にでもなった気持ちで、 玄関を開け、階段を上り、あの窓辺にゆく。 そんな妄想をして、 ついニヤリとしてしまうのでした。

文・つやまゆうこ 幼い頃から物件チラシを眺め、間取り図を描き遊んでた根っからの間取りスト。平屋、古民家、古い喫茶店、歴史的建造物、路地探検が大好き。障害者福祉に従事する三児の母。