とろけそうな陽だまりだ。 見るからに風通しの良い部屋、 自然と心がなごむ、 団地ならではの、ゆるりとした空気。

おしゃれリノベでもない、 最新の設備があるわけでもない、 でも、生活が整いそうなきちんと感がある。 流れるのは、平凡で、平熱の、日常の空気。

ベランダ側の部屋から台所に目を向ける、 あら、ガラスドアがあるの、いいね。 風の心地良い季節には、 ちょっと開けて、風の通り道を作る。

光の入る台所は幸せ。 実直な、ステンレスと白いタイル、 ほんのり昭和を感じる。 できるだけいつも、 ピカピカを保てるように。

キッチン側にも 小さなバルコニーがあるのね。 なかなかにゆとりある間取り。 洗い上げた布巾たちは、日向に干して 家事を一通り終えたら 小さなベランダでカフェオレを飲むか、 ひとまず畳でごろりするか、 悩ましいところだ…。 そんな平和な悩みが、チマチマある日々。

小さな玄関にも昭和レトロの気配。 靴でぎっしりにならないように気をつけよう。

トイレは新しくはないけれど ウォッシュレット付き。

お風呂は改装したのかしら、 団地ならではのバランス釜ではなくて ちょっと嬉しかったりする。 掃除もしやすそう。

ベランダにはためくシーツを取り込むと 部屋に乾いたひなたの匂いが満ちる。

お昼寝する赤子のほっぺは おひさまの光を取り込んだかのように ぷっくりと温かく、白く発光している。

起こさないように 静かに洗濯物を畳みながら 今日の夕飯のメニューを考える。

ざぶざぶとお米を研いで、 肉に下味をつけ終えるところで 赤子がモゾモゾと動き出す、 ふぇん…と声が聞こえる。 ベビーカーで散歩行って、 ついでに足りない野菜も買ってこよう。

おっと、部屋の紹介と暮らしの妄想が つい、ひとつづきになってしまった… それぐらい、するりと日常と繋がる部屋。 すぐお隣で繰り広げられてそうな、日々。

団地群の南端にある棟だそう。 それもなんだか、いい。 その4階。 なんと、スカイツリーも見えるそうな。 小さな特別感が散りばめられている。 光あふれるこんな部屋で ささやかな幸せを育んでみたいものです。

文・つやまゆうこ 幼い頃から物件チラシを眺め、間取り図を描き遊んでた根っからの間取りスト。平屋、古民家、古い喫茶店、歴史的建造物、路地探検が大好き。障害者福祉に従事する三児の母。