居住不可なんですって。

アトリエや倉庫としての利用、と 限定されてるんですけども

あまりにも良い空気感の部屋なので うずうずしてしまい、ご紹介。

まずこの玄関先の風情からしてたまらない。 焦茶色のドア、型板ガラスの木枠の窓。 昔の学校にありそうな古い時計、 しかも帽子みたいな庇付き、味わい深い。

かわいいドアを開けてまず ハッとするのは、室内の清潔感と明るさ。 古いアパートって、少しドヨンとしてたり 空気のよどみを感じることがあるのだけど ここには一切ない、からりとした空気。 まっさらな白い壁、そして このたっぷりした窓が、いいんだなぁ。

型板ガラスの模様って、 いつまででも見ていられる 不思議な魅力がある。 おばあちゃんちのトイレ、 座りながら目の前の型板ガラスの模様を 目でなぞって迷路みたいに 遊んだりしてたことを思い出す。 ガッツリ料理には向いてない小さな水場。 シンプルなガスコンロを買おう。 お湯を沸かして、珈琲を入れたり、 カップラーメン作ったり、それくらいでいい。 なんたって「アトリエ」だから。

窓オープンにすると、外廊下から丸見え。 ふわっとした布をカーテン代わりにつけて 風でふわりと膨らんでは戻る様子を ぼんやり眺めていたい。

ご近所さんと仲良くなって オープンなアトリエとして使えたら素敵。 外廊下を人が行き交う気配を感じながら、 ひとりだけど、寂しくなくて、 前向きな気持ちになる、そんな空間。

床の年季の入り方も好き。 擦れ具合や色味に アトリエっぽい味わいがある。

押し入れに並べるのは本や資料か、 画材や道具類か。 デスクスペースにしても良いかも。

時々雑巾掛けをして、 ちょっとやる気が湧かない時には ゴロリと寝転んで涼んだりしたい。 焦茶の天井を眺めながら この部屋で流れていた時間、 卒業してった先輩方に想いを馳せる。 読書部屋としても最高だなぁ。

外廊下突き当たりに 共用のトイレがあるんですけど 洋式でラッキー！という感じだし 入居者の方々の手によるのでしょうか、 センスの良さと綺麗な様子に安心します。

なんというか「愛されてる」感が 滲み出る、良いアパート。

共用部も部屋も、きちんとしていて それは、もちろん修繕の手も入りつつも 代々大切に使われてきたからだろうなって。

しかもこんな昭和レトロ風情の 良い部屋がたった2万円！ 住めないけど。 風呂もトイレもないけれど。 夢がありますよね。 しかも京都で、太秦で、和泉式部って 住所だけで風情が溢れすぎている…。

美術系の学生さんとか、 駆け出しの作家さん、 アトリエ探してたー！って方には朗報です。 京都に住んでたなら、別宅として どうにかして借りたいものだ…。 埋まらないうちに、是非。

文・つやまゆうこ 幼い頃から物件チラシを眺め、間取り図を描き遊んでた根っからの間取りスト。平屋、古民家、古い喫茶店、歴史的建造物、路地探検が大好き。障害者福祉に従事する三児の母。