2つ軸の異なるのアールに彩られた窓辺。 その窓の先には桜の花が咲き誇ります。

バルコニーに出ると もはや手が届きそうなほど。 2階という高さもあって、 まさに目の前で季節の移ろいを 堪能できます。

左手からアールの稜線をたどれば、 桜の枝ぶりをなぞるように視線が動き、 右手のアールをたどっていくと、 奥に咲くもう一本の桜にも 自然と目がゆきます。 優れた額装が絵画の魅力を より引き立てるように、 ゆるやかな曲線が窓の外の風景を ひときわ美しく感じさせていますね。

こちらのアールはエアコンの配管を 隠す目隠しの役割も果たしており、 機能と意匠が噛み合った まさにお手本のようなデザイン。 窓際の床を、縁側のように サッシの高さまで上げることで、 より外部との連続性が高まっています。

梁の下にはその形に沿って 間接照明が設けられています。 照明やダクトなどのノイズがない 美しい天井面が柔らかく 照らされています。

キッチンはリビング部分と素材感を リンクさせ統一感のある仕上がりに。 冷蔵庫などは奥側にまとめることで リビング側からの見た目も スッキリまとまっています。

アール壁の扉には、壁との一体感を 高めるため巾木が付けられています。 ディテールへのこだわりが 素晴らしいですね。

そんな扉の向こうは約6帖の洋室。 リビングとは一転して 深い紫色のシックな空間です。

落ち着いた心地よい明るさで、 寝室にもぴったり。

壁のアールで各部屋に面する 窓の枚数を調整することにより、 リビングは明るく風景の 楽しめる空間に、 寝室はおこもり感のある 落ち着いた空間となっています。

ところ変わってこちらは玄関ホール。 横長の広々とした土間は 親子並んでの靴の脱ぎ履きや、 ベビーカー置き場としても重宝しそう。

玄関ホールとLDKの間には洗面台のある ホールのようなスペースが。 「前室」と名付けられたこの空間は、 先ほどの洋室と同じ色で 仕上げられており、明るさも控えめ。 玄関から一度この場所を 経由することにより、 リビングへ入った時の開放感が より強調されますね。

ころんとしたフォルムが かわいらしいトイレも同様の 落ち着いた雰囲気となっています。 トイレットペーパーの収納も まるでアートのよう。

洗面台横の扉の先には脱衣室と浴室が。 こちらは淡いグレーを基調とした 空間となっています。

玄関土間の隣、約3帖の書斎スペースは、 やわらかな木目が特徴的な ウッディな雰囲気のお部屋です。 窓台の奥行くを深くとり、 桜とヒマラヤスギの立ち並ぶ 中庭の風景を取り込んでいます。

敷地内は中庭を含めみどりが多く、 ちょっとお散歩すれば 気分もリフレッシュできそう。 平置き駐車場も月額2000円の 補修費のみで利用できるので、 お車をお持ちの方も安心です。

アールの窓辺のある リビングのみならず、 寝室や前室、書斎などの空間も それぞれ異なる魅力を持っていて、 住んでいて楽しそうなお部屋ですね。 家族全員にお気に入りのスポットが 見つかりそうです。

文・佐藤シュン 浜松で設計事務所をやりながら、黒猫と暮らしています。