どんなにていねいに作られた家も、
心をこめて使われていた家も、
時間の経過とともにいずれは朽ち果てる。
家って、生き物なのかもしれませんね。

そんなことを考えさせられる
古民家らしい古民家を発見しました。

ここは、大阪府唯一の村である千早赤阪村。
大阪の中心地からは、
電車とバスを乗り継ぎおよそ2時間。

ハイカーたちに人気の金剛山を中心に、
四季折々の自然を享受できます。
まさに秘境の地とも言える場所。

村の豊かな自然に抱かれて、
昔ながらの平屋がぽつん。

緑の中に佇む、古風な赤い屋根が目印です。

築年数は不詳。
かつて草葺だったらしい屋根は、
現在はトタンで覆われています。

まず驚くのは敷地の広さ。
建物の面積は120㎡と
やや広めくらいの民家サイズなんですが、
宅地のほかに山林がついてきまして、
そちらの面積は1,560㎡。なんと約470坪。
0をひとつ読み違えたかと二度見しましたが、
間違いではありませんでした。

ちなみに山林というのは地目で、
実際には竹林と家庭菜園用地だそう。
車を6台ほど停められる場所もあります。

もう10年以上人が住んでいないので、
家のあちこちが傷んでいますが、
躯体は意外としっかりしていそうですよ。

部屋の中はこんな感じ。

そうなんです。

ところどころ、
破れたり、折れたり。
めくれたり、変色したり。

包み隠さずに見せますが、
正直かなり
ぼろぼろで、ごちゃごちゃな場所もあって。
いやこれは住めないでしょって
思っちゃうかもしれません。

しれませんが、
このおうちが愛されていたんだろうなという
形跡が見え隠れしていまして。

今日はそんなところを
お伝えできたらいいのですが。

たとえば、
居間の真ん中にある掘りごたつ。

掘りごたつといえば
居酒屋さんなどでおなじみですが、
昔の日本家屋では練炭を入れて、
脚を温めていたそうな。

ずっとずっと昔。
雪の降る寒い夜に、
仲良し親子がここに並んで座り、
おしゃべりをしていたのかもしれません。

大きく開けた空間には光も入り、
畳を明るく照らしてくれます。

壁沿いにある収納は、仏間かな。
なかなか立派なしつらえです。
大事に使われてきたのでしょう。

ああ、こっちの畳は踏んだら抜けちゃいそう。
見に行く方はどうかお気をつけて。
改修工事必須です。

あら？
リフォームしたと思しき
新しい板の間もありました。

天井が高く、窓も大開口。
うん、良い空間の条件が揃っていますね。

内と外の境目にある縁側が、
いかにも日本家屋らしくていいなあ。

そして視線の先には、見事な竹林が。

古民家カフェやアトリエを営むのに
ぴったりなロケーションだと思います。

竹林には大きなタケノコも生えています。
歴史ある家屋に、生命の息吹。

簡単ではないかもしれないけど、
この場所をうまく活用して、
再び何かできないものか。

ニョキっと生えるタケノコが
「おい人間、頑張ってくれよな！」
と背中を押してくれる（気がする）。

屋内と屋外の間の空間を
大胆に活用できる間取りは、
伝統的な日本家屋の強みかも。

販売価格は390万円とかなりリーズナブル。
これは、
リフォームに予算を使ってほしいという
売主さんのはからいです。

「この家を末長く活用してもらうために、
現時点で手入れをしてもらえたら」
とのことで。

インフラを整備する必要があることや、
市街化調整区域のため再建築不可なことなど
いくつかの注意点がありますので、
ぜひ事前にご確認を。

売主さんも可能な限り、
寄り添ってくれる姿勢です。
（優しい……）

古民家が本来の魅力を発揮するためには、
人の手入れが必要です。

完全に朽ちてしまう前に、
蘇らせてくれる方はいませんか。

おうちも、庭のタケノコも、売主さんも、
新たな住人を待ち望んでいるはず。きっと。