以前は漁師さんが 暮らしていたという古民家は タイムカプセルを開けたかのように かつての暮らしを想起させる 美しくノスタルジックなお家です。

近所の海まで歩いて行ける、 淡路島の由良という地域。

釣りスポットが多くあり メバルにキス、スズキにチヌ、 タチウオ、アジ、サバが釣れて、 しかもアオリイカの穴場としても 知られているそうですよ。 釣り好きにはたまらないエリアです。

そのためも海産物のおいしさは 言わずもがな。 ウニにアワビ、ハモや鯛… 考えただけでウキウキします。

タイムスリップしたみたい、と 思わず呟いてしまいそうな レトロな路地も。 そんな街の中にあるのが

こちらの古民家。 地元で有名な棟梁が建てたそうで 築80年という長寿でありながら 美しい状態を保っています。

間取り図だけでも なかなかのインパクトですが これだけでは伝わらない魅力が たっぷり詰まっていますよ。

砂壁に土間、木戸に下駄箱。 この上なく渋い玄関から 古民家探訪は始まります。

1階は4畳の和室と

6畳の和室がメイン。

やっぱり二間続きの和室というのは 襖を外すと壮観です。 大きなちゃぶ台をいくつも並べて 飲めや歌えやのどんちゃん騒ぎ、したい。

縁側があるのも、いいですよねぇ。 こういった木の扉をみると となりのトトロで まっくろくろすけが出てきたシーンが 頭に浮かぶの、私だけじゃないはずです。

そうそう、扉と言えば… 家中の建具という建具が 今ではそうそう見られない、 昭和の芸術品の数々でして

木製サッシに型板ガラス。

建具って木枠とガラスの組み合わせで こんなにバリエーションが生まれるんだ、と あらためてうっとり。

ネジ締まり錠を きゅきゅっと回転させるのだって 愛おしい時間になるんだろうな。

台所も必見です。 なんと、土間台所が残されています。

毎朝4時に出漁する 漁師さん一家の 朝のにぎわいを支えてきた場所だそう。 ほかほかと湯気が立つのが 目に浮かぶようです。

土間台所、使いこなせるか不安… と思った方もご安心ください。 通常タイプの台所もありますよ。

カラフルな床や壁に合わせて 花柄のホーロー鍋なんかを 揃えたくなりますね。

5畳のお部屋は 2つの台所と隣接しているので ダイニングとしても 使いやすそうです。

お風呂は離れにありまして タイルの色合わせが新鮮な脱衣所から

浴室へ入ると、この広さ！ 浴槽こそ普通サイズですが スペースがたっぷりあるので お子様と一緒のバスタイムだって 余裕、余裕。

窓からたっぷり光が入るから 早めの時間の入浴も 気持ちよさそうです。

さて、お部屋へ戻りまして 2階へ。

2階は6畳が二間。

和室を和室たらしめる要素が詰まった 趣のある空間です。

床脇の違い棚には 季節のお花を 陶器の花瓶に入れて飾ったり。 長い歴史を持つお部屋に 自分のエッセンスを少しずつ 注ぎ込んでいけたらいいな。

こちらの窓もまた素晴らしい。 すりガラスを通して和らいだ光が 部屋をやさしく照らします。

さらに、隠れ家みたいな屋根裏まで。 少し低くなった天井で おこもり感がぐっと増して。 ここで過ごす 穏やかで密やかなひとりの時間を 想像すると胸が高鳴るのです。

お家そのものを堪能するだけで いくらでも時間を使えそうですが 近くにはアカウミガメの 産卵地としても知られる 無人島、成ヶ島があったり （曜日によって船が出るそう！） 洲本温泉まで車で10分だったりと この土地ならではの楽しみも色々。

移住を考えていらっしゃるなら （移住支援制度）を 調べてみると 助成金や補助金も色々あるので 迷っている背中を ひと押ししてくれるかもしれません。

朝から釣りに出かけたなら 釣果を片手に 馴染みの猫ちゃんにご挨拶。

まずは土間台所で 大胆に魚をさばくことから始めようか。 漁師さんが暮らした家を 引き継ぐからには、ね。

文・ほしりょうこ 散歩とビールと読書が好きな、元リフォーム屋さん。16年で9回の引越しを経験。もっぱら東京の西側にいます。 @hs_ryk