背の高い差し鴨居に丸太梁。 最近の建物ではめったに 見かけなくなった力強い構造を見ると、 リノベーション物件の良さを あらためて実感します。 さらにこの物件では、 窓の取り方にまでこだわった

反りのある立派な屋根に 周囲の緑にも馴染むモスグリーンの 外壁の組み合わせた外観。 複雑な屋根形状や軒裏の意匠は そのままに、瓦屋根から軽い金属製の 屋根に葺き替えるなど、現代風に アップグレードがなされています。

敷地面積はなんと1000㎡超え！ 敷地の東側には竹林があり、 春にはタケノコ狩りなども 楽しめるみたいですよ。

黒い柱や梁と白い壁がモダンな玄関。 約6帖ほどの広さがあり、 自転車やバギーなども余裕で 置けちゃいます。 当時の面影を残す踏み込みの部分が 上手く空間に溶け込んでいますね。

こちらはリノベーション中の画像です。 今回のリノベーションにあたり、 一度この状態まで解体し、 窓の位置なども再考しているのだとか。 細部に至るまで適切な修繕がなされ、 さらにここから長い時間を刻んで ゆけそうです。

玄関を上がった廊下の正面には、 風景を切り取る ピクチャーウィンドウが。 目線を自然に廊下の奥に誘導し、 空間の奥行きをより強調しつつ、 暗くなりがちな廊下も自然光の 差し込む明るい空間となっています。

リビングは天井を抜き、柱や梁を あらわしにしたダイナミックな空間。 黒く塗装された構造材が、 空間のアクセントになっています。

リビングの一角には薪ストーブまで 設けられています。 ゆらゆらと燃える炎を眺めていると 時間が経つのも 忘れてしまいそうですね。 ストーブの周りに使われている 大谷石は耐火性が高く、 旧帝国ホテルなどの有名建築でも 用いられた頼もしい素材です。

リビングをL字に囲む土間が、 外部と内部をつなぐ中間領域の ような空間を作っています。 このようなお部屋と庭を 馴染ませる空間があると、 ガーデニングの途中で 土間でお茶をしたり、 料理に使うハーブを お庭に摘みにいったりと、 日々の生活なかで 屋外と屋内を行き来するハードルが ぐんと下がりますね。

LDK周りの窓は引き違いの掃き出し窓と FIX窓を組み合わせることで、 通風や動線は確保しながら、 風景を楽しむための額縁のような 開口も設けられています。 竹林を背景にしたお庭づくりも 良い趣味になりそうです。

リビングに隣接する ダイニングキッチンは ツヤを抑えたステンレスの ワークトップが印象的。 リビングから少し天井を下げることで 重心の低い落ち着いた空間に なっています。 土間部分の天井は黒い塗装仕上げ、 リビングは木目を生かした板張り、 そしてダイニングは 壁と同色の白い天井と、 メリハリのある構成になっています。

キッチンは竹林やお庭の風景を 楽しむ特等席。 背面の作業台も合わせれば かなりのスペースになるので、 みんなでワイワイと お料理をするのも楽しそう。 深型の食洗機もついているので あと片付けも楽ちんです。

個室に移って、こちらは主寝室。 オープンクローゼットと なっているので、適宜目隠しなどを 用意してもよいかもしれません。 これらの建具は既存のものを 塗装して利用しているそうで、 レトロな風合いがたまりませんね。

道路側に面する個室は、 小さめの窓を高めの位置に 設けることで、外からの視線が 気にならない落ち着いた空間に。 こちらのお部屋は将来的には 壁をたてて2部屋に 分割することもできるので、 ライフステージの変化にも 柔軟に対応してくれそうです。

水回りももちろんキレイに リノベーション済み。 トイレは格子を思わせる間接照明が、 落ち着いた印象を感じさせます。

洗面室はかなりのゆったりサイズ。 建物の中央で本来は窓が設けられない 所なのですが、天井のトップライトが 自然光を届けてくれています。

庭しごとをした後に、 太陽の光を感じながら湯舟に浸かる なんていうもの贅沢ですよね。 Bluetoothにも対応しているので、 好きな音楽を流しながら のんびりとしたリラックスタイムが 楽しめそうです。

こちらが間取り図。 広々とした敷地内には こちらの母屋のほかに2階建ての離れや 倉庫兼車庫、畑スペースなどもあるので、 悠々自適なスローライフを送ることが できそうですね。

つくばエクスプレス「守谷駅」まで 車で8分程。 秋葉原駅までも40分もあれば 着くので、都会からの距離感も ちょうどいい感じです。 都会と郊外のいいとこどりのこの家で、 自慢の風景を眺めながら 過ごしてみてはいかがでしょうか。

文・佐藤シュン 浜松で設計事務所をやりながら、黒猫と暮らしています。