お菓子が入っていた空箱を ふたつ、みっつとくっつけて 中に小さな人形とか テーブルや椅子に見立てたなにかしらを ちまちまと並べて。 シルバニアの手作り版、 とまで言ったら図々しいけれど。 小さなころ、そんな遊びが好きでした。

なんてことを思い出したのは 小さなワンルームの中が さらに小さく区切られた、 このお部屋が あまりにかわいらしかったから。

小さな、とは言ったものの 居室は6.6帖と いたってスタンダードな広さ。 ただ、それぐらいの面積なら 空間をいかに広く確保できるか、というのが 至上命題だと思い込んでおりました。

私がこのお部屋のリノベを担当したなら 絶対に 対面側の壁にキッチンを配置しちゃう。 そして、残りのスペースを なるべく広く、汎用性高く… なんて固定観念を覆すように 中央に置かれたキッチン。 正面に壁を立てて 1段あがった床を活かせば まるで小箱の中に入ったような かわいらしいキッチンスペースの完成です。

機能は最小限だけれど たらいみたいなまん丸シンクとか つるりとしたIHコンロに 白いスポットライトとか 愛すべき要素はたくさん。 すこんと空いたカウンター下には ぴったりサイズのラックを 探すか、思い切って作ろうか。 とにかく、自分なりに構築したい。

居室は 艶を抑えた幅広の無垢床が使用されて ほっこりとした雰囲気。

限られたスペースなので 家具は厳選しなければ。 ごはんもお仕事もできるよう、 カフェテーブルと椅子を1脚。 本棚は欠かせない分、 テレビはやめてプロジェクター？ 観葉植物は… 二の次だと言われそうだけど わくわくする順、と思えば 選抜してもいい気がする。

キッチンの小箱の壁の裏側、 当然ここもコンパクトなスペースと なるわけでして。 親切に間取り図にも描かれていた通り ここは絶対ベッドスペースでしょう。 きゅっと壁に囲まれて眠るのは きっと落ち着く。 それにね、 （ほぼ）6帖ワンルームという間取りにおいて 独立した寝室、というエリアが作れるのは すごく贅沢だと思うんです。

貴重な収納スペースもこの奥に。 オープンではありますが ここまで入ってこなければ 目に入らない場所なので まぁ、ちょっとくらいは ごちゃっとしてしまっても セーフ、セーフと思える気がする。

水回りは居室の引き戸の向こうに さりげなく収まっています。 洗濯機置き場もこちらに。

浴槽はなく、シャワールームのみ。 元からシャワー派さんなら お掃除らくちんでラッキーですし お仕事帰りや休みの日の スーパー銭湯巡りを始めたりしたなら 趣味の幅も広がるかも。

思い切ってキッチンを真ん中に。 そうしたら、お部屋の中が 3つの箱で仕切られたような 意外な仕上がりになっていて。 そこへぴったり合う インテリアや小物を探してゆくのは それはそれは楽しい日々だと思います。 子どものころ あぁでもない、こうでもない、と 小さな箱に小さなモノを 並べていたころのように、ね。

文・ほしりょうこ 散歩とビールと読書が好きな、元リフォーム屋さん。16年で9回の引越しを経験。もっぱら東京の西側にいます。 @hs_ryk