京都の街のあちこちで見られる
建物と建物の間をくぐるように抜ける、

「路地（ろおじ）」の風景。
これぞ京都！というその路地を通って

玄関に入る、ささやかな喜び。
木戸をカラカラリと開けますよ。

ひっそり小さな、平屋の京町家。
工務店でもあるオーナーさんの手により
無垢材を贅沢に使い改装された
こだわりのおうちです。

最初に現れる3畳の部屋、
これぞ、至福の空間！と思いました。
ガラス戸の向こうには、坪庭。

こちらも小さいけれど、
ぎゅっと、侘び寂びの詰まった空間。

華やかさはないけれど、
ただ静かにそこにある。

外からの視線も遮られ、
ひたすら内省を促されるような。

平日の夜、ビールやワインを少し。
晴れた休日の朝はゆっくり美味しい珈琲を。
雨の休日には音楽をかけて読書に耽ったり。
どんな時間も最高の時間になりそう。

すぐ横にキッチンがあって、
奥の和室から醸し出される素敵な気配に
ソワソワしながらも台所チェックです。

ひとり暮らしなら十分すぎる、
ふたり暮らしでも十分な広さと機能。

戸棚のつまみ、よく見ると、あらかわいい。
ナンテンの木だそう。

冷蔵庫やゴミ箱いくつかが
気持ちよく収まるスペースもありがたい。
よく見るとゴミ箱の棚下に車輪が。
そう、こちら可動収納になっていて、
引っ込めることができます。

引き出すことによって、
脱衣場を区切るという
役目も果たしてるのです。
天井や家具、建具は一本の丸太から
製材されてるというこだわりようです。
さて、お待ちかね、奥の和室へ。

あぁ、なんて美しい空間、ガラス戸！
恐らく何十年も、変わらずそこにあるのでしょう。

近寄ってみて、磨りガラスと
冬の朝に出会いそうな模様の型板ガラスに
心震えるような気持ちに。
どうか、割れずにずっとそこにいて欲しい。

立派な床の間もあります。
間接照明が飾られたものの美しさや存在感を
より一層引き立ててくれそうです。

品と知性が滲み出るような
静けさ満ちる和の部屋は、
自然と背筋がピンとなります。
やっぱり落ち着くなぁ、としみじみ。
奥にも土間がありますね。

上部のパタパタ開閉窓に
またも心鷲掴みです。
光を柔らかく通し、
陰影の美しさが際立つ磨りガラス。

この土間の風景もまた素晴らしい…！
こちらからも通りに出られるようですね。

太秦撮影所が近く、
目の前の通りは「大映通り」、
またの名を太秦シネマストリート。
昭和レトロと賑わいが入り混じる
ユニークな街並み、そして

すぐそばを路面電車が走り、
道を挟んで建つのは広隆寺。

京都らしさをたっぷり味わえる
ロケーションです。

街の風景、移り変わりを
静かに長いこと見つめてきたのでしょう。
一見変わらないようでいて

中は、丁寧にアップデートされ住みやすく
木の温もりと愛情が散りばめられた
優しい小さな京町家。
家に帰れば、スッと心が整う。
ミニマムだけど、凛とした住まい。
憧れの形ひとつです。