今までいろんな物件をご紹介 してきましたが、 研究所は、さすがに初めてかも…。

昭和12年より以前に建築され 建築当時の風貌が 随所に残る希少な建物。

研究所と言っても、実験施設ではなく 総合研究所とのこと。

それ以前は大学の学生寮として 使われてきたそうです。

天井を取り除くと現れた立派な梁と 高い天井。

いくつもの個性豊かな デティールは、新たな活用の可能性を 秘めています。

次の世代は、どんな風に 生まれ変わるのか…。

想像の翼を広げて、 見ていきましょう。

建屋は、西棟、中棟、東棟と 広い敷地に3棟並んでいます。 応接間に渡り廊下など、 心がくすぐられる文字が並んでますね。

南天や棕櫚の木が植えられた緑の前庭は 訪れる者を豊かな気持ちにさせてくれる。 ここだけ見ると、古民家のようでもある 中棟の玄関。

中に入ると、意外な光景が広がってました。 年季の入った建具や梁に、 エレガントな紅色のじゅうたん。 室内を照らすレトロなランプと相まって ただならぬ雰囲気。

磨き上げられた引き戸は 歴史を感じさせます。

独特なムードが漂う廊下は いつまでも眺めていたくなる 不思議な魅力を放っている。

お部屋へ入ると、 中庭に面した窓のおかげで明るい印象。 風通しも良さそう。

こちらは広いお座敷。 年月を経たからこその味わい深い天井に 圧倒されます。

大きな窓は、中庭をパノラマに 魅せてくれる。

ここまで広い和の空間は、 なかなか珍しい。 痛みの激しい部分を補修すれば どんなに見違えることだろう。

奥にある湯沸かし室も、 大きい窓がたくさん。 勾配天井は隠れ家感があって 楽しいですね。 土間になっているので、 店舗にするなら厨房にうってつけかも。

中棟1階、間取り図では「作業室」と なっている一番奥にあるお部屋。 高い天井をしっかり支える ゴロンボ（梁）が力強く美しい。

2階のお部屋も見てみましょう。

先ほど見たお部屋よりも、 天井がさらに高く感じられる。 窓が三方にあり、天井高と合わせて さらなる解放感があるお部屋。

窓からは、前庭を見下ろせます。

敷地面積、約240坪に 庭の広さは100坪以上。 隣の建物とは距離が保たれていて 日当たり・風通し、ともに恵まれている。

中庭に降りると、レンガ造りの焼却炉が。

掲載元の八清さんのHPでは、 これを再利用して、ピザ窯にする アイディアが提案されていました。 なにそれ、天才じゃないですか…?!

奥は隣家の塀になっており、 人目を気にすることなく、 ガーデンパーティーが楽しめそう。

中棟と東棟の間には、 こんなデッキもあるんです。 植栽を整えて、草花を愛でられる チルアウトコーナーにするのは いかがでしょう。

デッキの奥は、 中棟と東棟を結ぶ渡り廊下。 和洋の折衷具合がたまりませんね。

東棟の1階は大部分の壁が取り払われ、 大きな広間になっています。 ショールームやギャラリーなどに 向いてそう。

連なる柱とお祝いやお祭りを連想させる 紅色は、ハレ感のある特別な空間を 作り上げていて、 思わず息をのんでしまいます。

東棟の2階も、この天井高。

おまけに窓からは五山の送り火が 望めるとのこと。

別荘やセカンドハウスにするなら とっておきのラグジュアリールームに なりそうです。

前庭に出て西棟へ。

こちらは現代のオフィス然としたつくり。

近隣には大学が複数あり、 ふたたび研究所としての利用や事業所、 カルチャースクールなどの運営にも 適しています。

中棟から渡り廊下で行ける大きな倉庫。 アトリエのある芸術拠点にでもなれば 活気があふれるだろうな。

京阪鴨東線出町柳駅から徒歩11分。 映画やアニメでおなじみな 鴨川デルタもほど近く、 商店街や映画館など、 生活にも便利な立地。

時が経つのを忘れ、静かに過ごすことの できる非日常なたたずまいと、 いかようにも生まれ変われる可能性。 歴史を刻んできた建物に 新たな命が吹き込まれ 次世代にも活用されることを 心の底から願っています。

文・葱山紫蘇子 大阪で娘3人息子1人と暮らす独り身。元劇団維新派役者竹山らいち、元ミニシアター従業員、元介護職。建物と書き出し小説と漫画と毛布のヘリが大好き。 Lit.Link