土間のある京町屋はよくありますが 平屋のものは、だいぶ少ないのでは ないでしょうか。 こちらはリノベーション済みで 住み心地が、とてもよさそう。 ひとり暮らしするなら、こんな家がいいな。

京町家用語集によると 玄関先の広い土間はミセニワと 呼ばれているようです。 建物奥まで土足のまま入れる左側の 土間は、京町屋の特徴の一つでもある トオリニワ。 奥の土間は、坪庭なのかな。 コンパクトながら京町屋の特徴が いっぱい詰まっています。

玄関を開けると広がる土間は さすがの広さ。 自転車やバイクを置いても 余裕がありそう。

棚を設えてバイク整備やDIYの作業場に できそうですね。 換気がしやすい窓があるのも ポイント高い。

縁台を置いて、ひと休みできるコーナーも 作りたいな。 近所に住む友達が、ちょっと立ち寄って お茶飲み話ができるように。

レトロな型板ガラスの入った、格子戸が とても、いいですね。

ガラリと開けて、上がりましょう。

中は9帖のフローリング。 表情豊かな床板は、味わい深くて 飽きません。

お部屋から玄関先を見てみました。 玄関側は北になるので、窓の大きさに 比べると、光がやわらか。 この陰影具合、心がやすらぐなあ。

腰高の十文字窓もかわいらしい。 古びた木の机が似合いそうな一画です。 写真右側のガラス戸を開けると すぐに炊事場なので、机を置けば ダイニングテーブル代わりになるかな。

押入れの隣のスペースに、ベッドを置けば お部屋が広く使えるかも。 こちらのガラス戸は、開けると 縁側と土間があります。 戸を全部開け放つと、風どおりが とても良さそうです。

縁側の前に、先にトオリニワを お見せしたくて、一旦玄関へ戻りました。 忙しい京都の商人が、建物の奥へ 履物を脱がずに行き来できるようにと、 先人の知恵を伝える建築様式。 せっかくなので、玄関先から入りましょう。 上の写真、一番左側の引き戸を 開けますと…。

細長い土間が、建物の奥まで続きます。 なかでも炊事場は ハシリ（流し）があるので ハシリニワと言うのだそう。 天井にはかまどの煙を逃す役割と、 光を取り込むための天窓である火袋も あります。

オールステンレスの流し台は、土間との 相性がとてもいいですね。 武骨な趣がたまりません。 右端には、ガスコンロが取り付けられる スペースもあります。

ハシリニワの並びには洗面台が ありました。

洗面台の向かいには縁側が伸びます。

そうです、このガラス戸を開けた所に つながっているんです。

つまりはこう、このような ことなのでした。 キッチンと居室、どちらからでも サニタリースペースに行けます。 回遊性のある間取りって、お家が広く 感じられて、なんだか嬉しく なっちゃうんですよね。 平屋の、こじんまり感と相まって とても好きな間取りです。

縁側の奥の土間は坪庭サイズ。 こちらが南側になるので 植木鉢で草花を育てるのも、いいかも。

憧れてやまない、光さす縁側での 日向ぼっこが叶いますよ。

洗面台の横には、レトロな水色タイルで 懐かしい気持ちになれるトイレ。

洗濯機置き場に浴室と、サニタリーが 集まり、動線的にも便利。

ステンレスの浴槽ってお湯を張ると、 水がキラキラしていて 入浴欲が、そそられるんですよね。

古道具屋さんに置いてあるような箪笥は もちろん、北欧テイストの家具でも、 似合ってくれそうな室内。 お家全体に、肩の力が抜けるような 侘びた雰囲気が漂っていて、 年代を経た京町家の力量がうかがえます。

一見、土間があるようには思えない 表向きも、大好きです。 友達を呼んで 「中はこうなってるんや？！」と 驚かせたくなっちゃいます。

嵐山電鉄北野線御室仁和寺駅から徒歩6分、 JR山陰本線花園駅からも徒歩10分と アクセス良く、多くのお寺が残る 落ち着いたエリア。 アトリエ利用や、室内の改装、ペットの 相談も可能で、このお家賃とは、 嬉しさが盛りだくさん！ 予定は無いのに、ひとり暮らしをしたく なってしまいました。

文・葱山紫蘇子 大阪で娘3人息子1人と暮らす独り身。元劇団維新派役者竹山らいち、元ミニシアター従業員、元介護職。建物と書き出し小説と漫画と毛布のヘリが大好き。 Lit.Link