テラコッタタイルが敷かれたフロアに、
大小さまざまな窓から光が注ぐLDK。
窓があちこちに浮かんでいるようで、
なんならフロア自体も浮遊しているような。
これ、どうなっているんでしょう。

世田谷・上町周辺の住宅密集地にありながら、
空間を敷地いっぱいまで広げるのではなく
あえてセットバックした印象的な外観。
もしかしたら建築雑誌で見たことのある方も
いらっしゃるのではないでしょうか。
そうです、建築家の畝森泰行さんが
設計を手がけた「House Tokyo」。
ユニークなかたちはもちろんのこと、
大きく波打つガルバリウム鋼板が
ひときわ異彩を放っています。

1階にひろびろとしたLDK、
半地下に寝室とサニタリーがある1LDK。
…なんですが、
外観からうっすらと感じ取れるように、
普通の2フロアの家ではありません。

玄関を入ってすぐ広がるのはこの光景。
目線の下と上にフロアがあって…なるほど、
スキップフロアになっているんですね。

1階と玄関、そして半地下を
階段でつないだだけの、
意外にもシンプルなつくり。
まずは1階のLDKへ上がりましょう。

テラコッタタイルの玄関から
チェッカープレートの階段を上ったあとに
現れるLDKのフロアは、
ふたたびテラコッタタイル。
連続性と温かみがあってうれしくなります。
正面に見える造作棚の右端、
フロアを突き抜けてる部分は、なんと靴箱。
一段下の玄関からだと、
ちょうど手が届く高さになるんですって。
なんてすばらしいアイデア！

LDKの最大の魅力は、なんといっても
上へぐんぐんと広がっていく空間。
部分的に外壁をセットバックさせることで
生まれた複数の壁面に、
どーんと開口を配置。
同様に天井の高さにも差があり、
低いところで約1.9m、
もっとも高いところは4.7mなんだとか。

ソファが吊り下げ式になっているのも
おもしろい。
これまでになかったつくりが
新しいライフスタイルを予感させます。

半地下のフロアに下りると、
洗面室とトイレ、
シャワー室が並んでいます。
家の竣工当時は近くに銭湯があったので
バスタブは必要ないと
オーナーさんは考えたのだそう。
（残念ながらその銭湯は
廃業してしまったそうです……）

ベッドルームは家の一番奥にあり、
洗面室前とシャワー室前の
どちらの廊下からもアクセス可能。
将来的には2つのベッドルームに
分割することも想定し、
2つの入り口と2つの収納スペースを
備えた設計になっています。

家でくつろぐ時間だけじゃなくて、
外でおいしいごはんを食べる時間も
銭湯で大きなお風呂に浸かる時間も
含めた生活が好き。
穏やかな日々を繰り返してるうちに
長い年月が経てば、
仲良し夫婦なんだけど
寝室は別にしたいねとか、
東京を離れることになったとか、
いろんなことがあるんだろう。
そんなすべてを受け入れてくれそうな、
都市生活者のためのお家です。