過ぎたるはなお、及ばざるが如し という言葉もありますが、 住むところにもほどよさ というのがあるのかもしれません。 ほどよい大きさの戸建住宅が すみよく、ちょうどよい空間へと 生まれ変わった リノベーション物件のご紹介です。

どことなく懐かしさを感じさせる外観。 ファサードはあえて旧いものを そのまま残したのだそう。 1階にガレージがあり、 2階に玄関といった構成です。

間取りとしては3LDK。 コンパクトではありますが、 個室もきちんと用意されていて、 車も置けちゃうほどよいサイズ感です。

無垢材の床に、合板の壁、 そしてあらわしにした旧い天井…、 3種類の表情も時代も 異なる木材が共存する、 温かみのあるリビングスペース。 どんなテイストのインテリアでも 受け入れてくれそうな、 懐の深いくつろぎの空間です。

リビングの反対側は ダイニングスペースとなっています。 もともと和室だったのか、 柱や障子などにその名残が 感じられますね。 もともとの建物の チャームポイントを残しながら、 丁寧にリノベーションされています。

ダイニングの奥のキッチンは ミニマルなデザイン。 フラットなステンレスの天板に、 シンプルな吊戸棚の組み合わせが スタイリッシュです。 シンク下の収納はキャスター付き なので、例えばどれか1つを 別の場所に移動させて代わりに ゴミ箱を置くなど、カスタマイズも 自由自在です。

キッチン隣の階段を下りた先の1階には、 水回りがまとまっています。 蛇口も含め壁付された洗面台は お手入れもしやすそう。 枯草色のボーダータイルに、 角を少しだけ落としたアーチの 組み合わせが、かわいらしすぎず、 クールすぎずのちょうどよい塩梅です。

木目調の壁がアクセントのお風呂は 新品でピカピカ。 こういったところが きれいになっていると、 やっぱりありがたいですね。

そして1階には水回りのほかに シャッター付きのガレージが。 階段下のスペースは自転車置き場や ちょっとした作業スペースとしても 活用できそう。

ガレージの裏にはサニタリーに つながる2つ目の玄関が 設けられています。 車で食材を買い込んで、 冷蔵庫にストックするときには こちらの動線が活躍してくれそうです。 こういった気遣いが住みよさにも つながってきますよね。

3階には3つの個室が並びます。 こちらのお部屋は2間続きに なっているので、奥は寝室として、 手前のお部屋はセカンドリビングの ように使ってみても。 梁をあらわしにした 開放的な空間なので、 2階のリビングとはまた違った テイストのくつろぎスペースに なりそうですね。

もともと床の間だったところも ヌックのような居心地の良い スペースに生まれ変わっています。 テーブルを置いて書斎のようにも 使えそうなちょうどよいサイズ感です。 既存の床柱を黒く塗装して、 お部屋のシンボルとして 据えなおしているのもすてきです。

もう1つのお部屋は 子ども部屋にもぴったり。 もちろん趣味部屋などにも マルチに使えそうな空間です。

これだけ丁寧に リノベーションされており、 それでいてこのほどよいお値段。 住むほどに愛着が湧いてくる、 コスト・機能・デザインの バランスのよいおうちです。

文・佐藤シュン 浜松で設計事務所をやりながら、黒猫と暮らしています。