紡いできた過去を引き受け
今と地続きの素敵な未来を夢見られる
そんな予感を感じられる物件と出会うと、
ワクワクする気持ちが湧いてきます。

きっとこの物件も素敵になる。

強くそう感じて、
思わずほころんでしまった、
そんな物件です。


長年にわたって不動産を見続けると、
現在のありようと幾ばくかの来歴から、
過去と未来の可能性を
少しずつだけではありますが
読み解ける気がしてくるのです。

読み込むための
幾つかの“方程式”のようなものが
体の中に蓄えられていく感じ。
そしてそれらによって
未来の可能性を感じる、この感じ。

培われ発揮されるこれこそが
“勘”というものなのでしょうか。

大正以前から哲学の道の近く、　
白川通と今出川通の
交差点近くに立ち続ける京町家。

風情ある窓は大きく、
その欄干は
そこに手をかけ外を眺めていた
以前の住人たちの姿を想像させてくれる。

そんな二戸一棟の建物の向かって左。

鰻の寝床的な京町家とは少し違い
間口が約6.3mあり
各お部屋も幾分大きめで
現代的な暮らし向けにリノベするのにも
適していて、

前面道路も6m幅の道路ということで

大きな窓だからこそ得られやすい
解放感をさらに増幅してくれる。

解放感の話は二階だけではなく、
一階には前庭と奥庭があり、
それぞれを作り込むことで
こちらも
京町家らしい解放感を得られる仕組み。

特に前庭を望むこの景色は
強くやり甲斐を感じるだろうと。

吊りとこのある和室六畳と縁側は
うちとそとに自然を感じ、
地続き感を演出するのが心地よさそう。

世界の広がりを室内に持ち込む。
和建築の良さですよね。

この縁側が境となって、
曖昧さも演出してくれ、
うちとそとをグラデーションで繋いでくれる。

そして奥庭。

今は土間が打たれていますが、
これを取り払って、植栽を行い、
小さなお庭を作るのが楽しそう。

そう、土間が打たれたのは“便利さ”から。
庭にするのは“楽しさ”のため。

一階和室四畳半から眺める奥庭を
楽しむものとして育てる。

一階和室四畳半の隣にはキッチン。
奥庭の左右にはお風呂トイレ。

そうなるときっと一階奥のエリアは
LDK的な生活機能が集約される
前庭よりパーソナルな場所。

そんな場所だからこそ、
前庭よりさらに自分の好みにこだわった
趣味性が如実に現れる庭づくりを
楽しむことになっていくだろうなぁと。

もちろん、
前庭、奥庭を繋がる形で作って、
いろいろな一体感、解放感を醸すのも一興。

その辺りはお好みで。

さてそして二階です。

改めて見ても良いですよね、
この開口部の大きさ。
二間続きのお部屋もそれぞれ広く、
共に八畳間。広い。

前庭側の和室には床の間やら
縁側やらがあるので、

さらに広めに感じるはず。

ここの床の間も作り甲斐ありそうですよね。

建物全体的に趣がある分、
そしてきっとそれを活かすようなリノベが
なされるだろうため、
心惹かれるささやかな何かを足すことで
きっと素敵な新しい景色が
都度都度生まれるお家になると思うのです。

そんな新しい景色との出会いは
二つのお庭に床の間、
吊りとこ周りだけの話ではなく、
水回りや玄関やらへ
一輪挿し、投げ入れを配することや、

抜ける風に揺れる風鈴なぞを吊るすことでも
きっとおこると思うのです。

そう考えると、
四季ごとの変化だけでなく、
毎年、毎日、毎時、毎分、過去から未来まで
ずっと違った景色がここで作られ
幾人もの家主や来訪者に
めでられてきたんだろうなぁと…しみじみ。

そしてその景色を作り紡いでいく役を
引き受ける担い手になれる人と
ぜひ出会ってほしいなと。

立地としても中心市街地から
少しだけ離れて暮らすのに人気が高いエリアで、
桜に新緑、紅葉なども楽しませてくれる人気の小径、
哲学の道も程近く。

うん、
きっと相性の良い人はたくさんいると思うので、
そういう人に引き受けられると嬉しいなぁ。