尼崎市・大物に位置する一角に 今も姿を残す長屋。 かつての戦火を逃れた長屋が こだわりのリノベーションで 大胆に生まれ変わっています。

レトロなフォントであしらわれた 「アマナガヤ」の文字。 2戸1長屋のうちの1戸、2号室が 今回ご紹介するお部屋です。

1階には土間にキッチン、 2階に居室とサニタリーという シンプルで潔い間取り。

兎にも角にも 内装のセンスが抜群にいい。 この玄関だけでも 心をつかまれるディテールが ぎゅぎゅっと詰まっています。 流木のドアハンドル、木枠の窓に シンプルながら洗練されたデザインの照明、 さりげないルームサイン。

せっかくなので、お近くでどうぞ。

あ、窓は型板ガラスだ。 レトロな建材も するりと馴染ませる技術に 惚れ惚れします。

玄関から続く土間は ご自身の趣味や仕事のため、 アトリエ・事務所などとして 使うのはもちろんのこと、 展示やポップアップストアの空間として 活用することもできるそう。

仲間と共同で 作品の展示をおこなったり ご自身の制作物を販売したり。 オープンな空間にして 地域との交流をするのも 楽しいだろうな。

土間の奥にはキッチンスペース。 光がたっぷり入って 明るいのがうれしい。

ミニマルなデザインが 土間のエリアとの一体感を醸しつつも 実用性も十分。 キッチンの下部にスペースがあるので ステンレスワゴンなどで 工夫して収納を増やすと 便利だと思います。

生活スペースは 階段を上がって2階に。 手摺や格子の柵が 控えめなアクセントとなって お部屋の中に リズムを生んでくれています。

2階は棚板やハンガーパイプなど オープン収納が充実。 このお部屋で暮らすなら 持ち物はお気に入りを厳選して 「見せる収納」が上手にできると 毎日がハッピーなのかも。

床は、こっくりとしたブラウンの 無垢の杉板。 裸足で、足触りを堪能したい。

大きな窓の先にあるのは

デッキの敷かれたバルコニーです。 ご近所の方の暮らしが感じられる この景色が日常にあるというのは なんとなくホッとするような。

水回りもかわいらしいんですよ。 一部が板張りになった壁だったり 切り取られたような四角い鏡だったり。

お風呂もピカピカで 毎日入りたいところですが

実はご近所に 大正12年創業の第一敷島湯という 銭湯がありまして。 タイムスリップしたかと思うくらい レトロな雰囲気を そのまま残した銭湯なので こちらも定期的に利用したい。

自転車圏内には ディープな雰囲気が漂う 杭瀬の市場なんかも。

さらには、広々とした 緑が生い茂る公園があったりと なんとも、表情豊かな街です。

お部屋の中だって まだまだ魅力がたっぷり。 スイッチプレートまで こだわられているし

土間の階段下のスペースは ベンチにする？ ミニライブラリみたいに 本を並べるのも素敵かも。

家も街も 暮らすほどに魅力があふれ出る予感。 長屋という歴史を持つ建物で 暮らして、働いて、街に馴染んで。 そんな新しい毎日を 始めてみたくなるのです。

文・ほしりょうこ 散歩とビールと読書が好きな、元リフォーム屋さん。16年で9回の引越しを経験。もっぱら東京の西側にいます。 @hs_ryk