いつかこのお部屋が手狭になって もっと広いお家に住んだり 結婚してどこか遠くに引っ越したり それか、それよりももっと時間が経って おばあちゃんになった頃とか。 ここで一人暮らしをしたことを 宝物のように思い出すかもしれない、 そんな予感がするお部屋です。

荻窪駅から徒歩1分。 中央線と丸ノ内線の二路線を利用でき さらに丸ノ内線は始発駅。 新宿まで約10分という便利さに加え 駅の北口と南口には それぞれ商店街があったり 駅ビルが充実していたりと 日々の暮らしも楽しめる立地です。

ベッドやテレビ台、 テーブルなんかをゆったり置ける 10帖超のワンルームには 間取り図だけではわからない魅力が たっぷり詰まっています。

玄関から中に入って 目の前に現れるのは 木のぬくもりが伝わってくるような 三角天井のキッチンスペース。

ついつい上を見上げてしまうけれど 造作のキッチンだって素敵です。 グースネック水栓にIHコンロ、 ホーローのシンクと シンプルながら センスのよいアイテムで構成されています。

空間に溶け込む やさしい色合いのタイルは いつもピカピカに拭きあげておきたいな。

三角天井の下を抜けると インダストリアルな質感の メインスペースです。 コンクリートの壁や天井に 少しくすんだ色の床、 むき出しの配線が ラフな雰囲気を醸す空間に ブルーのアンティークタイルが よく映えます。

窓際はフロアタイルでゾーニングされ インナーテラス風に。

柱の奥、デッドスペースには 造作の棚が設けられ 一部はデスクとして使える仕様です。

一歩進むごと、 目線を移すごとに 表情が変わるお部屋を どう作り上げていこうか 想像するだけでワクワクします。

クローズの収納はないのですが お部屋のすみっこには ハンガーパイプがついているし、

玄関には大きなオープンラックが。 ここには靴だけじゃなく 古着屋さんみたいに Tシャツとかデニムとかを 重ねるのもいいかも。 近所には高円寺もあるし 参考になるディスプレイを求めて 古着屋さん巡り、 新たな趣味にいかがでしょう。

水回りはとことんスッキリ。 多様な素材で仕上げられた部屋から 異空間に来たかと思うほど シンプルにまとまっています。

でも、1日のあれこれを洗い流して 身も心もリセットさせるには このくらいのクリーンさが ちょうどいいかもしれません。

人生の中に こんなにもこだわりが詰まったお部屋で 暮らした時間があったなら それってきっと いつまでも心に残るだろうな、と なんだか妙に感慨深い気持ちになって。

いつかここを離れたあと 荻窪を通りかかったときに 思い出すのは 三角の天井かな、ブルーのタイルかな。 窓際の机に向かう時の相棒の マグカップの柄かもな、なんて 住んでもいないのに 妙にセンチメンタルな気分に なってしまうのでした。

文・ほしりょうこ 散歩とビールと読書が好きな、元リフォーム屋さん。16年で9回の引越しを経験。もっぱら東京の西側にいます。 @hs_ryk