10分ほど歩くと懐かしい感じの温泉と、
三宮駅まで向かうバス停がある。
そんな都会のはずれの山の麓。

ちょうどここいらから山が始まる、
みたいな所に建っています。

おかげで周囲は森とか山とか。

遮るものがないので、
窓の外には緑が広がっている。

ここなら
町の喧騒から離れた暮らしが手に入る。

数年の間ずっと積読になっていた
読みたかった本を読んで過ごす日々。

数日おきに温泉へ歩いて行き、
ほんのたまに街までバスで出て、
お家に帰ってきては
やっぱ家が一番落ち着くね、って
誰かのセリフみたいに言ってから
本を手にベッドに倒れ込む。
そんな暮らし。

カリカリという音に
読みかけの本から目を上げ、

窓外でこちらを呼ぶ猫と
その後ろで揺れる木々に天候の変化を教えられ。

「ああ今日はこのまま部屋で過ごそう」
そう決めて始める料理は
明日にも食べられる事を考えた
残り物で作るスープ的な何か。

「そろそろ街に降りてパンを買わないと」
そう思ったのはもう数日前。
そんな暮らし。

たまに訪ねてくる友人には
お土産に愛猫の餌と
人気ロースタりーのコーヒー豆とをねだる。
そんな暮らし。

立ってるものは親でも使えじゃないけれど、
登ってくる友人にこそお使いを頼め、と。

ちょっと重たい良いお酒なんて
持参してくれようものなら
ベランダ飲み会なんか開いてね。

建物の周囲は当たり前に開けてて
気持ちのいい風が抜けたり抜けなかったり。

10分歩けば町へのバスもあるんだけど、
ここが良いからここにいちゃう。

暮らしの丁寧さを
誰かに決めてもらいたいとは思わないし、
きっとそういうのでもないけれど、
あの頃の私が憧れる暮らしは
もう結構叶ってるなぁって
そんなふうに思える暮らしがここにはある。

毎日起きたら歯を磨きながら
今日はあの本の続きを読もうと考えて

子供の頃には怒られた
トイレへの本の持ち込みも
家族が猫だけなら
口うるさく言われることもなく。

それこそ温泉へ行かない日には
体を折りたたんで入る湯船でも

…そんな感じで、
大きな仕事をやり終えた後なんかに
人生の夏休みにと
一年ばかりここで本と住む。

そんな暮らしもありでしょう？
そう思わせてくれる物件でした。