まあ、なんて素敵な洋館。
築100年以上とのことなので
それなりに傷んでいるようだけれど、
台形に張り出したベイウィンドウや
石造りふうの外壁はいまも威厳に満ち、
美しく自信にあふれていた
かつてのあなたを思わせます。

色とりどりの花や緑に囲まれた庭、
深緑に塗られたばかりのよろい戸、
傷ひとつないぴかぴかの外壁。
玄関ホールに飾られた絵を見て、
あなたの在りし日の姿と
住まい手のあなたへの愛情を知りました。

神戸港の開港後、来日した外国人たちが
暮らした邸宅が数多く残る北野町。

1907年に建てられた当時の姿を
ほとんどそのまま残すあなたは
伝統的建造物に指定されているそうですね。

うわー、すごい。広い。
1階は水回り以外にお部屋が5つ、
2階には4つ。
こうして間取り図を見ても、
やはり家の左右に設けられた
大きなベイウィンドウが特徴的です。

それではお邪魔しましょうと
軒先に立ち、いきなり面食らいました。
柱に支えられたアーチと、
ブルーに塗られた木の扉。

エイジングによる
このリアルなシャビー感は
意図的につくれるものじゃないです。

玄関ホールに息づく異国情緒も
なかなか真似できるものではありません。
腰壁やモールディングが施された建具のある
おうちはいまや珍しくないですが、
これは簡単に再現できないと感じさせる
そこはかとなく漂う本物感。
それから、あなたが描かれたたくさんの絵。

玄関扉近くの壁にもびっしりと。
ねえ洋館さん、さっきも言ったけど、
あなたはこんなにも愛されていたのですよ。

こちらは玄関入ってすぐ右手のお部屋。
ベイウィンドウの素敵なこと！
こんなふうに出っ張り部分に
ダイニングテーブルを置いて
降り注ぐ光のなか
朝ごはんや昼ごはんを食べたい。

ダイニングキッチンも広いんですねえ。
料理がはかどりそうなキッチンは
きれいに磨けばまだまだ
現役で使えるんじゃないですか？

その隣には女中室のような
小さな部屋があります。
私はここで十分だな。

トイレと洗面、
その奥にシャワールーム。
ここはがっつり
手を入れる必要がありそう。
どうせなら大きな猫足のバスタブ
入れちゃいましょう。

階段の手すりまでなんて美しい…。

高い天井とゆったり幅をとった廊下は
西洋建築ならではですね。

2階の庭側のお部屋も
ベイウィンドウが存在感を発揮。
天井も床も、どこを見てもクラシカル！

その向かいの部屋に、

その隣の部屋。

間取り図にある「納戸」でしょうか、
こんなかわいらしい小部屋もあります。
私はここでもいいです。

2階のトイレ・洗面。

この空気感とか建具とか、ぜんぶ好き…！

はー、もうお腹いっぱい。
普段はなかなかお目にかかれないであろう
お家の中を見せてくれてありがとう。
あなたのポテンシャルはいまも
ちっとも失われていないことが
よくわかりました。
たしかに全面的に改修が必要そうだけど、
築117年、かつしばらく空き家状態
だったのだから、仕方がないですよね。

ねえ、洋館さん。
良い継ぎ手が颯爽と現れ、
古くなった床を張り替えたり
建具を入れ替えてたりして、
あなたがまぶしいほどの美しさと自信を
ふたたび取り戻す日を
心から楽しみにしています。