本当に見どころの多い
特別なお部屋なんですけれども、
まずシンプルな台所に目が留まりました。
おそらくあえて段違いにしたガス台。
白いタイル壁に取り付けたアイアンバー、
大量の食器や道具をしまえる収納。
そして、このキッチンのために
つくられたようにしっくりなじむ
カウンターとスツール。

ちょっと引いて見るとこんなふう。
飴色の無垢床に漆喰の壁、障子。
天然素材でいっぱいの空間。
もしかしたら台所の段差で
ピンときた方もいるかもしれません。
このお部屋、設計を手がけたのは
住宅設計の名手として知られる
中村好文氏なんです。
（中村さんはお皿洗い時に
腰をいためないようにと
シンクのある台を高くする一方、
コンロ台のほうは鍋の高さを
考慮してやや低くしがち）

しかも場所は、茅場町駅から徒歩1分、
オフィス街のど真ん中。
うそ、こんなところに中村氏設計の
住居用の部屋が？ とびっくりしますが、
周囲のビルたちとは異なるおもむきの
開口と看板があるの、わかりますか？
ここが「アパートメント2122」の入口です。

右端が、さきほどのエントランスの看板。
その隣の写真、建物入り口のドアノブは
造形作家の望月通陽氏による
ブロンズだそう。なんて素敵な…！
入口でいきなりおしゃれの洗礼を受けて
くらくらしますね。
ちなみに左の版画も望月氏の作品で、
2Fのエレベーターホールに
飾られています。

お部屋は2Fと3Fの2フロアにわたる
ゆったりとした1LDK。

エレベーターを下りたあと（右）、
廊下を進んで（中央）
玄関扉へ（左）、という導線です。

玄関を入ると、雰囲気が一変。
障子越しのやわらかい光に満ちた
玄関ホールが広がります。

シューズボックス×2、
クローゼット×1の
収納三兄弟がお出迎え。
いきなり心強いじゃありませんか！

スケルトンの階段を上った先は、
さきほどご覧いただいたLDK。
ここがオフィス街の中だなんて
にわかには信じがたい…。

向かって奥がリビング、

その逆がダイニング。

ちなみにキッチンカウンターは
パカッと開ける収納付き（右）、
ダイニングの照明は
和の装いのペンダントライトで（中）、
リビングにはスポットライトが（左）。
いずれも家具のデザインも手がける
中村氏のセンスが光るディテールです。

キッチンは料理好きの中村氏らしく、
オーブンレンジ、3くちコンロ、
食器洗浄機まで完備。
個人的にはカウンターの
不思議な曲線がたまりません…！

次は階段を下りて
2階のほうを見てみましょう。

9.2帖の洋室は、
広さ、採光ともに申し分なし。
贅沢に寝室として使っちゃいましょう。

しかもウォークインクローゼットと
コンパクトなバルコニーが付いてます。

そして、最後に度肝を抜かれたのは
このバスルーム！
まさかの檜風呂が、オフィス街の
建物の一室に。

洗面所やトイレも浴室とおそろいの
板張りで、まるで温泉旅館のよう。

この唯一無二の空間を
自分たちだけの住居にするもよし、
SOHOや事務所も相談可能だそう。
東京駅が近く、事務所利用も
魅力的ではありますが、
せっかくの中村氏の設計だもの
がっつり住んでみたい。
クオリティや広さ、立地を考えると
なかなかリーズナブルな
お家賃ではないかなと思います。