美大生のふたりぐらし
この物件は現在は募集終了している可能性が高いです。過去物件のアーカイブとしてお楽しみ下さい。
車両に5人も乗ってない、夜の下り電車。東京なのに田舎みたい。 コンビニで買ったアイス開けた。一緒に住むまでは、1人で乗る帰りの電車が寂しかったのを思い出した。 いくつになっても、夏になると夏休み映画が見たくなる。「見たい」と言ったら、興味ないだろうに付いてきてくれた。
昼間は暑いから、最終上映時間に行った。学割の日を選んだ。閑散としてクーラーが効いた大型モールは、やっぱり田舎っぽかった。 サンダル脱ぎっぱなしにして、急いでクーラーつける。ガンガンに温度を下げる。 学期末に持って帰って来た作品で部屋が埋まってる。美大生は荷物が多い。 2人もいれば尚更。 湿気でベタついた体が冷えるまでシャワー浴びる気にもならない。作品をぐいっと隅へ追いやって寝っ転がる。 明日はシフト入ってないし、ゆっくり寝れる。ここらへんは夜更かしな蝉の声と、時折バイクが通る音くらいしかしない。 そういえば冷蔵庫に豆腐あったかも。あとで納豆と醤油かけて食べよう。 あ、週末買った魚、まだ食べてなかったな。賞味期限大丈夫かな。 そういえば七輪買ったって言ってたから、明日は庭で焼いてみようか。
なんで七輪買ったんだろう。 鉄瓶とか屏風とか、買わない人は一生買わないものをよく買ってくる。飽きないなあ。
文・戸田江美
1991年生まれ。デザイナー。おばあちゃんの仕事を継いで荒川区のマンションの大家をしている。落語が好き。@530e