カレーと肉じゃがのにおいがする戸建。
この物件は現在は募集終了している可能性が高いです。過去物件のアーカイブとしてお楽しみ下さい。
ここらへんの住宅街を通ると、どこからか夕飯のにおいが漂ってきます。 そんな町のシブい2階建ての戸建て。しかも山手線沿い。 利便性とノスタルジー、両方手に入ります。 小石模様の玄関、障子。 引き戸にオレンジ色の灯り。
そして40年近くこの家を支えてきた柱たち。 「ただいま〜」と語尾を伸ばして思いっきり帰って来たくなる、あったかい雰囲気。 「あ〜疲れた」 ゴロンと転がりたくなる和室。 いぐさの香りが鼻からつーっと、入ってくる。 さて、2階で着替えてこよう。 写真で切り取ったかのような窓からは、春の夜のぬくい風が。 収納がぎっしりあるから、2人暮らしには十分なくらい。 和室の方は、毎晩、枕投げ大会したくなる感じ。 修学旅行を思い出す。 帰り道に商店街で買ったお魚焼こうかな。 あと、お店のおばちゃんの上手なセールストークに乗せられて買ったおでんも、今日のお夕飯。 もうすぐ相方も帰ってくる頃だろうから、お風呂も沸かしておこう。 戸建てならではの広々お風呂。 でもトイレバス兼用かあ…って思うでしょ? 2階に個室トイレもちゃんとあるんです。 2人してお腹下しちゃったときも安心。 山手線沿いだけど、すっぴんで歩ける気持ちになる、のんびりした町。 心なしか歩いている人の速度も、都心より遅い気がするんです。 都会でキリッと働く姿と、商店街をすっぴんで散歩する姿、どちらも受けて入れてくれる町で、昭和ライフ。
文・戸田江美
1991年生まれ。デザイナー。おばあちゃんの仕事を継いで荒川区のマンションの大家をしている。落語が好き。@530e