おめェさんに、この眺望を住みこなせるのかい
この物件は現在は募集終了している可能性が高いです。過去物件のアーカイブとしてお楽しみ下さい。
この写真、不動産屋さんサイトのキャプションに「眺望」って書かれてて。
「眺望」って字がこんなに似合わない、こぢんまりとした眺めがあるのか…愛しい…
玄関を出たところの様子なんですがTHE・下町って感じですね。ドア、窓を開ければハイこんにちは、の距離感。大家さんのだかお隣さんのだか、はたまた投棄されたのか分からない鉢植えと雑貨たち。
「それでも愛そう。」と思える方に是非愛でられて欲しい。なんか、憎めない物件。 裏切らない玄関。赤いポスト、ノスタルジーです。 かわいいかわいい、すりガラス。 唐突に床の柄が攻めてきます。おいおい、お手柔らかにしてくれよォ。
市松模様×紫って、ラフォーレ原宿地下1階ヴィジュアル系みたいな雰囲気ですね。私が思春期のとき、自室の色合いこんな感じでした。 6帖の洋室。腰かけやすそうなエリアが2つ。和室の跡かなあ。 この物件、小さなツッコミどころが多発していて、もう、愛しい。 なんだか篭りやすそうなトイレ。考え事に最適。 バストイレ別なのは嬉しいけど、お風呂小さめ。まあ銭湯がある地域なので、大丈夫かな。 配線。洗濯物。電柱。 「三丁目の夕日」感全開です。 都電と日比谷線が走る三ノ輪橋は、浅草や人形町にも行きやすい下町エリア。家賃6万円を高いと取るかお手頃と取るか。「おめェさんに、この眺望を住みこなせるのかい」と試されてる感じがします。
文・戸田江美
1991年生まれ。デザイナー。おばあちゃんの仕事を継いで荒川区のマンションの大家をしている。落語が好き。@530e