片方がしっかりもので、 片方がぐうたらで。 それなら相性ぴったりだけど、 私たちはどちらも ぐうたらなので困ってしまう。

「一緒に住みたいね」と 話していたのにどちらも まったく動かないから、 あれよあれよと時は過ぎ。 お互いに「ここだ！」と ピンときたこの家に 出会わなければ、 きっといまでも別々の暮らし。

ふたつ洋室があるから、 プライベートが守られていいね。 なにより収納が多いから、 こまめに整理整頓せずに 荷物を放り込んでおけるのが うちらには最高だよね。

そんな会話をして、 ウキウキして内見を決めた。 部屋を見に来た日は、 カラッとした晴れ。 窓からたっぷりと 入ってくる太陽の光に、 いいじゃんいいじゃんと ふたりではしゃいだ。

無垢フローリングと 漆喰の壁のおかげで、 部屋全体がまったりしてる。 ピンと張りつめていない、 ゆるい雰囲気がすき。 隙あらばゴロゴロする ぐうたらなふたりには、 この空気感がぴったりだ。

広々したリビングには、 ふかふかのソファと ローテーブルを置いた。 ダイニングテーブルにするか 少しだけ悩んだけれど、 「ローテーブルのほうが 床に寝っ転がりたいときに スムーズだよね」と彼女が言うから。

掃除がしやすいIHコンロも、 とってもうれしいポイントで。 拭くのが面倒だと感じたら、 きっとこの家から去るまで ベタベタのまま放置してしまうから。

気が向いたときに お鍋くらいは作るけど、 動きたくなければなにもしない。 寝っ転がったままでも ご飯を届けてくれる出前には、 ふたりとも感謝しかない。 それぞれ違うメニューを頼んで、 シェアするのが楽しい。

ひとりずつ部屋はあるけど、 なんだかんだ一緒にいる。 部屋を仕切る扉も、 入居してから開けたまま。 だってつまらないし、 退屈だし、さびしいし。 声をはらずに「ねぇ」と言ったら、 すぐに「んー」と返してほしいし。

私がウトウトしていると、 彼女もいつの間にか ウトウトしている。 眠気は相手に伝わるのかな。 夕方のじんわりした トゲのない日差しの中で、 彼女の存在を感じながら ふっと眠りに落ちるのがすき。 起きたらまた、 一緒にご飯を食べようね。

脱衣所に窓があるから、 換気がしやすいし 空間も広く感じる。 お風呂上りに裸で 部屋をウロウロしても、 彼女はたしなめてこない。 そういうところがいい。

お風呂に入るときが どうしても面倒なときは、 私も彼女も入らない。 お湯を浴びることを そこまでがんばりたくないと、 ふたりで笑いあったりもする。

たまにやる気があるときは、 しゅわしゅわする バスボムを溶かして、 ふたりでお風呂の中で あれこれ話すこともある。 なにを話したのか 次の日には忘れているくらいの、 たわいのない会話。

トイレだけは汚いと ふたりともげんなりするので、 週替わりで掃除をしている。 始める前はいやいやだけど、 終わってしまえば 気分はスッキリ。 達成感も味わえる。

小腹が減ったら部屋着のまま、 ふらりと散歩がてら お菓子やアイスを買いに行く。 歩きながら食べると、 おいしさが倍増する気がする。

私のぐうたらを 許せるのは彼女だけだし、 彼女のぐうたらを 許せるのは私だけ。 お互いを許しながら、 たっぷり甘やかしながら、 居心地よく暮らしていこうね。

文・くまのなな 東京都在住のフリーライター。1991年生まれ。漫画と水遊びとおもちが好きです。主にツイッターにいます。 @kmn_nana